• 津曲茂久(獣医学博士)

犬はなぜ吠えるのか?

最終更新: 2月14日

犬の先祖はオオカミであり、犬はいくつかの素質を先祖から受け継いでいます。それでは吠え方も受け継がれているでしょうか?実際にはワンワンと吠えるのは子供オオカミだけで、大人のオオカミはワンワンとは滅多に吠えません。例え吠えたとしてもしばらく間をおいて吠えるだけです。それに対して、犬はひっきりなしに吠えることが多いです。


最も吠える犬種はコッカー・スパニエルで、10分間に907回という記録が残っています。


逆に最も吠えない犬はバセンジーです。バセンジーはアフリカ原産ですが、繁殖期は年1回のみという点で多くの犬種の中で例外的であり、オオカミに類似しています。


ところで、犬にとって吠えることはどのような意味をもつのでしょうか。

ワンワン以外の鳴き声には遠吠え、クンクン啼き、ウー唸りなどがあります。遠吠えは遠くにいるオオカミ同士で頻繁に使われる信号であり、犬の飼育環境ではあまり意味を持たなくなったと思われ、実際に犬の遠吠えはあまり聞かれません。但し、サイレンを聞いた時や、音楽に合わせて遠吠えを発する犬は存在しますので、先祖の血が騒ぐことはあるようです。

クンクン啼きは高音であり、相手への譲歩と従順を意味します。反対にウー唸りは低音で、相手に対する脅しの意味を有します。クンクン啼きにしろ、ウー唸りにしろ、縄張り争いや雌の奪い合いなどで実力行使による喧嘩を極力避けるために重要な意味があります。


余談ですが、クンクン啼きは雄オオカミが交尾相手を誘うときに使われます。ウー唸りについては、その低音が低いほど体が大きく、危険な動物であるというのは“生物界の法則”であり、野生動物は自分より低い声を聞いたら相手が見えなくても危険を回避する行動をとります。勿論、小さい弱い相手がハッタリや個性として低音を出す場合もあるわけで、近づいてみて自分より小さいとか、弱そうだ判断すると、逆に脅しを掛けます。

ワンワン吠えはクンクン啼き(従順性)とウー唸り(攻撃性)の中間の意味を持つと考えられています。ワンワン吠えは相手が強いか弱いか、何者なのか判断に迷っている時に使われ、オオカミもこのような場合には吠えるそうで、ワンワン吠えにより相手の反応を探り、次の行動を起こす時間稼ぎとして使われるようです。ワンワン吠えは中立無色のために色々な意味を持たせることが可能であり、犬で特に発達した機能だそうです。


犬は空腹な時や退屈したりすると吠える。家に入りたくなると吠えます。他の犬が骨を持っていても吠えます。飼い主が帰宅したり、郵便配達人が敷地に入ってくると殊更吠えます。しかし、犬が吠える労力に対して、犬の得る報酬は十分とは思えないのですが、犬は案外満足しているのかも知れません。分離不安症の犬は飼い主が玄関に近づいた途端吠えまくりますが、飼い主が応えてあげること自体ご褒美なので、これからも止めることはないでしょう。

庭に出していた犬が家の中に入れてもらいたくて近所迷惑になるほど吠えた場合、仕方なく犬を家の中に入れたとすると次からも吠えまくるでしょう。このような例から理解されるように、犬が吠えることで何らかの目的が達成されると、次に犬の欲求が生じた時に吠えることは請け合いです。まさに“吠えること”は犬が家畜化の過程で獲得した“打ち出の小槌”といえます。


犬の吠え声に飼い主が応えるときは、その場限りの条件反射的な行動を繰り返してはなりません。


#コッカー・スパニエル #バセンジー

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