• 津曲茂久(獣医学博士)

犬の奇妙な習性にも訳がある

最終更新: 2月14日

犬を膝の上に抱いたりすると、犬が飼い主の口やあご当たりをペロペロ舐めることがあります。この行動の意義について、多くの飼い主はただ単に犬の愛情表現の一つくらいにしか考えておりません。この行動の意義を考えるには、犬の祖先であるオオカミの行動を探る必要があります。オオカミの番(つがい)は一夫一婦制であり、その番の間に生まれた年長の子供、その後に生まれた若い子供とともに群れを形成します(2~20頭)。


母親はお産すると子供の哺乳、尿と便の処理(親が舐めて排泄を促し、巣穴を清潔に保ちます。また新生子の臭いを消すことは敵に気付かれないことに繋がります)、それに保温という大事な役割を果たすために、巣穴から離れることは殆どできません。特に寒い地域に住む動物の新生子の保温は極めて重要な意味があります。

その理由はイヌ科動物の新生子は生後1、2週間ある意味“変温動物”だからです。この時期に母親が巣穴から出歩けない分、父親や年長の子供たちが狩りに出かけます。近くで獲物が取れれば巣穴まで持ち帰ることもできますが、広大な縄張りを必要とするオオカミは遠くまで狩りに出かけますので、獲物をそのまま持ち帰らずに、胃袋にため込んで持ち帰ります。


野生の世界ではライオンでさえ毎日獲物を捕獲することは困難であり、3,4日間絶食になることも珍しくないと言われています。従って、一度捕獲した肉は出来るだけ“食い溜め”をする必要があります。記録ではオオカミは8キロの肉を一度に食べたそうです。狩りから巣穴に戻ると、一斉に離乳後の子供が餌をせがみますが、その時父親や年長の兄弟の口の周りを舐めるという行動を示します。そうすると不思議なことに胃袋にため込んだ半消化の餌を反射的に吐き戻します。この吐き戻した餌は離乳食として最適と考えられています。お分かりのように犬が飼い主の口の周りを舐めるのは、オオカミ時代の名残りということです。


犬が飼い主の口の周りを舐める時、注意すべき事があります。

それは犬の口は肛門と同じ様に寄生虫卵が多いということです。くれぐれも人と犬とのキスは危険な行為であることを知っておいてください。


そのことは腸内細菌叢の研究において飼い主と犬の腸内細菌叢が類似していることから飼い主と犬との間で細菌の交流が高いことが示唆されていますし、複数飼育の犬の腸内細菌叢の多様性は単独飼育の犬より多様性が大きく、健康性の高いことが分かっており、複数飼育の場合お互いの肛門から細菌叢を相互にもらっていることが分かります。

飼い主の中には犬の食事を飽きさせないように変えた方が良いと考える方があります。そのような犬に限って食が細く、“偽りの拒食症”を演じることがあります。


そのような飼い主に教えてあげたい逸話を紹介します。

ある老農夫が犬を飼うのに費用がかかると隣人に嘆いたそうです。



隣人が言いました。「わしと同じようにすればいい。わしは犬にかぶの葉っぱしかやらん」



農夫が叫びました。「かぶの葉っぱだって!おれの犬はそんなもの食わんよ」



隣人が答えました。「ほう、わしの犬も、2週間は食わなかったよ」



この逸話はテキサスの動物作家ボブ・マーフィーが書いたものですが、生意気な犬を扱う極意と言われています。犬の好き嫌いを矯正するには、犬は3,4日絶食になっても生き延びてきた野生動物の子孫であることを理解しておく必要がありそうです。現在の科学的に研究されたドッグフードは栄養学的にはほぼ理想的な成分を含んでいるとされていますので、毎日同じ物を与えても殆ど問題有りません。心しておくべきは、犬に好物をいつも与えてしまうと、いざ病気で食欲がない時に食べさせるものがなくなり、犬自身が困る羽目になることです。


好物は病気の時のために取っておくことは結構大事なことです。


#犬の愛情表現


TkanLab企業ロゴ.png
LINKS
ABOUT

お問い合わせ

​TkanLab

利用規約

プライバシーポリシー

特定商取引に基づく表記

​免責事項

  • Facebook
  • Twitter

© 2020  TkanLab,INC. All Rights Reserved.​